2012年07月11日

コルトレーンの「But Not For Me」

せっかくなので、ジャズネタでも...
有名な、コルトレーンチェンジの「But Not For Me」です。

因みに、通常バージョンのコード進行は、まあ↓な感じ。

| F7 | Fm7/B7♭ | E♭△7/A♭7 | Gm7/C7 |

これをコルトレーンがやると、まあ↓な感じ。

| E♭△7/F#7 | B△7/D7 | G△7/B♭7 | E♭△7 |

要するに、トーナルセンターを「長三度進行」させて行くだけの事。
この場合だと、E♭キーからスタートして Bキー→Gキーに行き、E♭キーに戻る。
長三度で転調するので、ぐるぐるオクターブを回って最初のキーに戻る訳です。

7thコードは、転調をスムーズに行う為に機能するもので、正に「テンション→リリース」の原則にかなったもの。
また、最初と最後が合えば「その間は、何やっても良いよ!!」と、拡大解釈出来ますね!!

これ即ち、その後の「スーパーインポーズ」への道を開いた...とも思えてしまいます。

例えばベースとピアノとサックスが居たとして、皆でコルトレーンチェンジで演奏すれば、これは所謂「リハーモナイズ!!」ですね。
例えばベースとピアノは通常バージョンのコード進行で演奏して、サックスだけがコルトレーンチェンジでやると「スーパーインポーズ!!」という事です。

これ、実際やってみると頭がグシャグシャになって面白いです!!

以下...「参考ネタ」です!

ショーターの「Night Dreamer」という傑作がありますが、これは明らかにコルトレーンチェンジをパクっています。
最初の2小節のコード進行は、↓な感じ。

| G△7/B♭7 | E♭△7/D7 |

各人のソロでは、これをグルグルと繰り返しますが、これは上記の「But Not For Me」のパターンの一部と同じですね。
要は、GとE♭のキーを行ったり来たりするだけの事。

で、当時のショーター先生達は、これのコード進行でどうやってソロしているかと云うと、殆ど「Gマイナーペンタ一発!」でやっています。
考えてみれば、キーがGの箇所は「Gのブルースだがね!」と考え、E♭の箇所は「Gマイナーペンタ=E♭メジャーペンタ」なので問題なし!!

コード進行とスケールを一致させて...なんて、良く理論書にありますが、敢えて一致させない手法もある訳です。
そもそもブルースなんて、その典型ですね。

ジャズの場合は、厳格に西洋音楽の楽理に忠実に従いつつ、同時に「そんなんブルースなんだわ!」と云いつつ、それを破壊してしまいます。
この辺りが、ジャズ独特の面白さですね。

それにしても、つくずく思うのは「何事も着眼点やアイディア」ですねぇ!
単純に、知識やテクニック、感覚だけでは超えれないものですね。

さて、長くなりますが...もう一つの発見は、上記の「But Not For Me」のテーマ部分のベースの動きです。

ベーシストは、基本的にコードのルート音を弾いて行きますから、

| E♭/F# | B/D | G/B♭ | E♭ |

となりますが、実際のベース音を拾ってみると、↓な感じです。

| B♭/A♭ | F#/E | D/C | B♭ |
| E♭/D♭ | B/A | G/F | E♭ |

一段目はB♭スタートでホールトーンで、二段目はE♭スタートでやはりホールトーンで移動しています。
なので、実際には

| E♭△7onB♭/F#7onA♭ | B△7onF#/D7onE | G△7onD/B♭7onC | E♭△7onB♭ |
| E♭△7/F#7onD♭ | B△7/D7onA | G△7/B♭7onF | E♭△7 |

ああ、めんどくさ!!

要するに「長三度=全音2つ」なので、ベースラインがホールトーンで移動すると、ちゃんと長三度進行と合う訳ですね。
一段目の場合はコードの5度の音として(例えばE♭△7の時のB♭音)、二段目はもろにルート音で合わせて来ています。

これは凄い!!
これがコルトレーンチェンジが、更にヘンテコに聴こえる理由のようです。

では、百聞は一聴にしかず...



タイナーも頑張ってますが、やはりコルトレーンはダントツですね。
このコード進行で、超高速フレーズを楽々吹いてます。

恐らく...自分だけこっそり猛練習して、メンバーには譜面を当日渡し...という、姑息な手を使ったに違いありません。

とまあ...お灸やりながらも、日々色々と夢想しています。

posted by ハロハロ at 08:04| 愛知 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャズの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ジャレットはスタンダードトリオの時何も告げずに弾き始める(定かではないが)と聞きますが、この方もそんな姑息な手を使うんですね(笑)
Posted by JAN at 2012年07月11日 14:35
ジャレットの話は本当っぽいですね。
ピーコックが、音を探っているのを見た事があります。

まあトレーンの話は、あくまでも「ネタ」という事で...

しかし、かの「ジャイアントステップス」のトミーフラナガンの演奏を聴くと、やはりトレーンだけが猛練習してスタジオに入ったように思えるのですが...

当時は彼以外、誰もあの構造を理解出来なかったかの知れませんねぇ。
何れにしても...「作った者勝ち!!」なので。

Posted by ハロハロ at 2012年07月11日 14:51
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